ある日、突然交通事故の被害者に!なんと相手は無保険……慰謝料は支払ってもらえる?

車1

交通事故の被害者になるというのは、物理的・精神的なダメージを負うということです。それをカバーするのが加害者からの慰謝料であるものの、スムーズに支払ってもらえない事態は珍しくありません。特に困るのは、加害者が「無保険」だった場合です。

慰謝料を払ってもらえる当てが無いとき、被害者はどう動けばいいのでしょうか。事故後に取るべき対応を解説します。

関連記事:個人事業主が交通事故の被害者になったら?慰謝料や休業損害について知ろう!

自賠責への加入はドライバーの義務!だったはずだけど……

車を運転している人なら、誰でも「自賠責(じばいせき)」という言葉を聞いた覚えがあると思います。改めて説明すると、自賠責とは「自動車賠償責任保険」の略です。加入者の車が事故の加害者になった場合、被害者のケガや後遺症、死亡に対して運営会社(または協同組合)から賠償金が支払われます。

これに加入することは法律(自動車損害賠償責任法)で定められた義務であり、未加入の状態で運転するのは立派な法律違反です。発覚した場合は1年以下の懲役または50万円以下の罰金、そして交通違反として点数6点が加算され、その時点で免許停止となります。

しかし実際のところ、自賠責未加入や更新を行わない状態で走っている自動車は一定数存在すると言われています。加害者が保険を当てにできないということは、被害者も事故が起こった際の補償を望めないということです。

もし、そんな自動車と事故を起こしてしまったら?大きなケガで働けなくなったり、治療に莫大な金額が掛かったりしたら?考えるだけでも恐ろしい話ですが、こうしたトラブルは決して珍しいものではないのです。

普通自動車の場合、自動車保険への加入率は約8割

では加害者が自賠責に加入していたら、それで賠償金については一安心?残念ながら、まだ不安要素が残っています。それは、加害者が任意保険(通称・自動車保険)に加入しているか不明な点です。任意保険とは、自動車を運転する人が「自分の意思で」加入する保険のこと。

任意ということで、加入が法律で義務付けられているわけではありません。しかし損害保険料算出機構『自動車保険の概況2018年度版』によると、自家用普通自動車の保有車両台数(公道を走行可能な自動車数)に対する自動車保険普及率は82%でした。

つまり車を運転する約8割の人が、何らかの自動車保険に加入しているということです。一見かなり高い数字に見えますが、『100台の自動車とすれ違ったとき、そのうちの約20台は自動車保険に加入せず走行している』と言い変えることもできます。

自動車保険に加入するのは、自賠責だけでは不十分な可能性があるから

任意の自動車保険に多くの人が加入するのは、「自賠責だけでは損害をカバーしきれない可能性がある」ためです。その理由は、自賠責がカバーできるのは「対人」の損害のみ、という点にあります。例えば被害者の乗っていた自動車が廃車になっても、大切に持っていたものが壊されたとしても、それは「対物」の損害なので自賠責では補償されません。

そこで、自賠責ではカバーできない部分を補うのが自動車保険です。最近の自動車保険は対人・対物どちらにも適応されるうえ、補償金額も無制限(自賠責は上限あり)となっている商品が多いです。

自賠責だけでは賠償金を支払い切れない場合も、自動車保険に加入していれば補うことができます。

加害者が自賠責に加入しているのを前提として、乗っていた自動車の修理費や自賠責の上限額を超えた治療費を支払ってもらえるかは、加害者が任意保険に加入していたか否かに左右されます。保険に加入していない状態かつ、補償に当てられる財産も無い場合は非常に厄介です。

ケガで働けず収入が減少するうえに、自分で修理費や治療費を支払う事態にもなりかねません。

加害者から慰謝料を受け取る方法⓵弁護士を立てて交渉する

もし事故の加害者が任意保険に加入しておらず、かつ自賠責にも未加入(あるいは更新期限切れ)の「無保険」状態だった場合は、まず交通事故に強い弁護士へ相談しましょう。個人で加害者と交渉するのは、相手から『お金が無いので支払えませんよ!』と強気に出られてしまう可能性があるためです。

また事故や損害の規模に対してどれだけの賠償を請求できるかは、その道のプロである弁護士に判断を仰いだ方が安心です。無料の相談窓口を設けている弁護士事務所も全国各地にあります。事故から時間が経つほどに損害の証明が難しくなりますし、加害者に逃げ切られてしまうリスクも上がります。

事故後はすぐに・とりあえずでも弁護士へ相談してみてください。ただし、弁護士を立てることで期待できる効果はあくまで「慰謝料を支払ってもらえる可能性が上がる」ことのみです。必ず支払ってもらえるわけではないうえに、弁護士費用の負担が増えただけで終わってしまうかもしれません。

関連記事:弁護士に交通事故の慰謝料相談をするメリット

加害者から慰謝料を受け取る方法⓶訴訟を起こす

車10

弁護士の交渉にも加害者が応じない場合は、訴訟を起こして慰謝料の支払いを求める方法もあります。つまり裁判所に加害者の責任を問い、『被害者に慰謝料を支払いなさい』と命じてもらうのです。当然、裁判所の決定は弁護士による交渉よりも強い効力を持ちます。

訴訟を起こせば、①よりも更に慰謝料を支払ってもらえる可能性が上がります。ただし、裁判所に提出する書類の作成や諸々の費用の支払いは、訴える側が行わなければいけません。また裁判に勝ったとしても、敗訴した加害者が必ず慰謝料を支払ってくれるとは限らない問題もあります。

裁判所は支払いを命じることができるものの、強制的に支払わせることはできないためです。

加害者から慰謝料を受け取る方法③強制執行

裁判で勝訴したにも関わらず慰謝料を支払ってもらえないとき、被害者に残された手段は「強制執行」です。ここで言う強制執行とは、「加害者(以下・債権者)の財産を強制的に取り上げること」になります。国の権力によって実行するため、もちろん合法な手段です。

強制執行を行いたい場合は、まず裁判所で「財産開示手続き」を申し立てます。これは債権者にどれだけの財産があるかを裁判所に調べてもらうための手続きです。この申し立てが通れば、債権者は裁判所で自分の所有する財産について説明することになります。

ここで賠償に充てられるだけの財産があると分かれば、裁判所はそれを差し押さえ、第三者に売却した代金を債権者に渡します。そして、これを加害者が事故の被害者に渡すことで、慰謝料の支払いが行われるというわけです。

強制執行でも慰謝料を受け取ることができなければ、加害者に賠償を求めることはほぼ不可能と言えるでしょう。

保険の無い相手との事故は、いつでも・誰にでも起こり得る問題です

事故の加害者がちゃんと保険に加入しているかは、事故が起こってからでないと分かりません。それだけに『事故を起こした相手が無保険だった!』という事態は誰にでも起こる可能性があります。もし被害者となってしまった場合は、すぐ交通事故に強い弁護士へ相談しましょう。

加害者に慰謝料を支払ってもらう方法は存在するので、最初から泣き寝入りを覚悟する必要はありません。